成田空港へ




2月のはじめ、まだ底冷えのする時期に、僕は重い荷物を背負い一人最寄り駅へと向かっていました。

いよいよ、旅のはじまりです。
今回、デンマークのコペンハーゲンに向かったのは、何か特別な理由といったものがあったわけではありません。

デンマークというのは僕にとってとても遠い国でした。
過去にヨーロッパを旅行した際に、コペンハーゲンを経由するということはしましたけれども、実際に自分自身がコペンハーゲンの街を歩くとは思っていませんでした。

旅行に出る前に、色々とコペンハーゲン関連の書籍をあさってみましたが、どうも、しっくりときませんでした。何しろ、僕は本を読むと「目から鼻にぬける」というやつで、読んだはしから先ほど読んだ内容を忘れて行くという健忘症なものですから、コペンハーゲンの街のイメージというものを明確につかむことが出来ないでいました。

「どうも釈然としない」という気分をおさえつつも、やはり、もうこうなったらコペンハーゲンに実際に行ってみるということしか、僕にはありませんでした。

旅というものは不思議なもので、実際に行ってみないことにはやはり、その国の印象というものをはっきりとつかむということが難しいものです。

僕はどちらかといえば、抽象的なことよりも具体的なことのほうが喜びが大きいと思うほうですから、やっぱり、世の中で具体的な楽しみといったらこれはもう旅以外にないと思うわけです。

成田空港に到着する


空港に着いて僕はまずはじめにやったことといえばそれは、カフェを探すことでした。
空港のカフェこそ、至福の瞬間を味わわせてくれる場所はないだろうと僕は思います。

というのは、空港というのは存在そのものがある種、ロマンチックに出来ていて、出発する人、帰ってくる人がさまざまに行きかい、それぞれの人々の雑多な人生を気ままに想像することができる場所だと思うからです。

カフェで一人、コーヒーでも飲みながら、「あの人はこれからどこに行こうとしているのか?」と、行きかう人々をながめやり、荷物やら服装やら、外見から発するさまざまな要因をもって勝手な想像をめぐらすことこそ、いささか道楽的ではありますけれども、ひとつの快楽に違いないと思っています。

せっかく旅行第1日目のカフェなのであるから、それも空港のカフェなのだから、そのカフェは思いっきりロマンチックなものでなければならない!と僕は考え、さんざん空港の中を歩き回りました。

しかし、成田空港の中をいかに隈なく歩き回っても、僕がイメージするようなカフェは見当たりません。

というのは、僕は喫煙をする者で、カフェで煙草を吸うことを日常的にも趣味の一つにしております。

空港内は喫煙のカフェがあまりにも多かったものですから、ちょっと気の利いた喫茶店を見つけても、禁煙のマークが貼ってあったりなどして、中々よさげな店を発見することができませんでした。

ようやく、二つの喫茶店の候補を見つけることができましたが、それらを発見した後も、ひたすら思案を続けてしまいました。一つはファミリーレストラン風の店で、もう一つは、中華料理屋でした。

どちらも純粋なるカフェでないことは確かです。

しかし、煙草を吸うことが出来るということと、ドリンクバーがあるということに僕は着目しました。

ドリンクバーの値段が100円ほど安かったことを理由に、僕は中華料理屋の方に入りました。

空港の中華料理屋にて


店に入ると、背の割と高い、こぎれいな感じのウェイトレスが出迎えてくれました。
彼女に「飲み物を飲むだけなんですが、よろしいですかね?」と聞いてみると、快く、ドリンクバーだけの利用を許可してくれました。

店内には、僕のほかに客が一人いるだけでした。
時間が朝の十時頃だったので、まだ昼飯を食べる時間ではなかったということもあるでしょう。

僕は色々と考えた末に、まず、アイスコーヒーをドリンクバーからもって来ました。

僕はそのあまりうまいともまずいとも思えないアイスコーヒーを前にしながら、これからの旅行のことを色々と思案していました。

そして、煙草を吸いながら、おそらくデンマークでは煙草は相当高いのだろうなあと考えていました。その後、免税店で日本の煙草を買って持っていったので、デンマークの煙草が果たしていくらくらいするのかという正確な値段は分からずじまいでした。

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