中央駅の鉄道模型

コペンハーゲン中央駅に展示されていた鉄道模型です。
鉄道模型が展示してあるのは、ヨーロッパ特有の風景なのかもしれません。
ちなみにチェコのプラハの駅舎でも、鉄道模型が展示してあるのを発見しました。
参考ページ
(僕が以前、プラハに行ったときに駅で撮影した写真をまとめてあるページです。よかったらご覧ください。)
コペンハーゲンの中央駅に展示してあったこの鉄道模型のジオラマは、山あり谷あり、街ありと何でもありといったとても賑やかで明るい感じの風景を再現していました。

模型好きというのは、どうやら国境を越えて、またいつの時代もいるようで、現実の世界を箱庭で再現したくなるというある種奇妙な欲望が人間にはどうやら備わっているようです。
これはもう不思議な欲望であって、「何で、こんな鉄道模型に興味が湧くのか?」と人から聞かれたら、それはもう「好きだからだ」と答えるしかなく、何かこう立派な弁明でも出来ればたいしたものですが、僕もどうやらうまく答えられそうにありません。
しかし、なぜか好きなんですね、鉄道模型が。
たまたま、コペンハーゲンでこのジオラマを発見して、子供の頃、鉄道模型作りに夢中になったことを思い出しました。

鉄道模型は、もちろん、レールの上で鉄道を走らせることがメインなんですけれども、それ以上に面白いのは、この写真を見てもわかるように、鉄道の周りの風景を製作することなんですね。
模型で家だとか、ペンションやホテルを作ったり、道路には車やバスを置いたりします。
街の道路に人を置いたりもし、また、牧場を作って、ウシやウマの模型を置いてみたりもします。
「空想の世界に浸る」という意味では、この鉄道模型という趣味こそその最たるものなのではないかと思います。
つくる楽しみという意味では、模型を完成させたあとに眺めるよりも、製作途中にそれを眺めることの方が楽しかったりもします。

それはある種、旅の楽しみ方にも似て、旅も旅をする前に、誰かが書いた旅のエッセイや旅行記を読んだり、ガイドブックや歴史書の類をひもといてみたりすると思います。
そうやって、旅への想像力をふくらませていくわけですが、実際に旅をしているときに楽しいのはもちろんのこと、旅行をする前にも楽しい思いを味わうことが出来るというのは、人間は想像力を駆使しながら、いろいろな喜びや楽しみを味わうことが出来るということなのでしょうね。
旅行から帰ってきた後も、やはり書物を読んだり、自分が撮ってきた写真を眺めやったり、旅先のレストランでもらったマッチ箱などを眺めたりしながら、やはり旅の思い出に浸るなんてこともあるかと思います。

「子供たちに想像力を育ませるような教育をさせよう」なんてことも言われたりもしますが、現実の子供たちは十分にそういった力を独力で育てているのではないかと思います。
昔、子供のころ、親戚の家などへ一人旅に出ましたが、あれなどほんのささいな小旅行であるとはいえ、やはり旅人のロマンというものを十分に刺激する、子供にとってはとても大きな冒険の旅でした。
人間はいくつになっても、冒険やロマンといったものを求める動物なのかもしれません。
何しろ、大の大人がこういった鉄道模型に夢中になって、徹底的な創作意欲でもって、このような素晴らしい街の風景を再現してしまうのですから。

僕はこの模型を作った作者(誰であるかはまったく知りませんが)に対して、その熱意というものに心を打たれました。そして、この模型を発見したときに、頭がカアッ熱くなり、しばし、その場で動けなくなるほどの感動を覚えたのです。
この鉄道模型は、コインを入れると模型が動くようになっています。
難をいえば、鉄道模型のスピードコントローラーなどもついていればもっとよかったのですが、残念ながらコインを入れたら、模型が動くだけです。
それでも僕は十分に満足でした。

コペンハーゲン中央駅の片隅で、ひっそりとたたずむこの模型を見たときに、ここに訪れた幾人の旅行者がこれに目を留めたかはわかりませんが、少なくとも僕はこの模型のジオラマに感動したことは確かです。
中央駅に訪れる機会があったらぜひ、探してみてください。
いまでも、駅の隅の方にひっそりとこの模型が置いてあるはずです。