ホテルの部屋にて
朝、起きて、ホテルの部屋の窓を開けると、素晴らしい光景が広がっていた、なんてことはなかったです。
15メートルほど前に同じホテルの別の棟があって、その棟が景色をさえぎっていたのです。それでも、いや、それだからこそ、こじんまりとした旅というものを味わっている幸福感でいっぱいでした。
というのは、たとえば、ニューヨークの高級ホテルなんかで、高層階に泊まって、窓の外に摩天楼が広がっているとか、そういうわかりやすいゴージャス感もとても魅力的ではあります。
でも、たまには、国民宿舎的なというか、こじんまりとした宿を見つけると、それはそれで体にしっくりとフィットするというか、旅におけるホテルの魅力というのはそういう部分にもあるのではないかと思います。
つまり、あえて、中級ホテルというものに泊まる、あるいは、日本でいうビジネスホテルに泊まる面白さです。
朝食を食べに行く
朝食は食堂でバイキング形式でした。
そのホテルの食堂は、「古い倉庫を改造した」という食堂で、小規模な体育館くらいのスペースであり、天井が高く、木がむき出しになっていて、なかなか開放感のある空間でした。
朝食はバイキングが一番いいですね。特に朝というのは、あまりお腹が減っていない場合もあるもので、自分勝手に好きなものを皿に盛って食べられるというバイキングは、やっぱり朝向きではないかと思います。
この旅行で、このホテルのバイキングで初めて僕は、エッグプレートというのを使いました。エッグプレートはゆで卵をむくための皿です。その皿に、ゆで卵を載せて、スプーンで卵の先端部分をたたき、殻を3分の1くらいむいて、スプーンで中身をすくって食べるのです。
「なるほど、この方法であれば多少、半熟卵であっても、黄身や白身がこぼれることはないなあ」と感心しました。
また、エッグプレートを使用すると卵の中身を余すところ無く食べることが出来ます。
その朝は、お腹がどちらかといえば空いていたので、卵を3個ほど平らげて、ハムをムシャムシャと食べた後、パンを何個か食べました。
黒パンにも挑戦しましたが、これはどうも酸味が強すぎて、全部食べ切れなかったです。
どちらかといえば、食べ物の好き嫌いはない方ですが、それでもやはり食べられないものというのはあるものですね。
朝食を食べ終わり部屋へ戻る
割とゆっくりと量の多い食事を済ませたあと、自分の部屋に戻りました。
ベッドの上に横たわりながら、「さて、これから1日どうするべきか」と思案しました。
もちろん、コペンハーゲンに来たのだから、人魚姫の像は見なければならないだろうということは分かっていましたが、まあ、のんびりと目的をあまり定めずに街歩きをするのを好む性分です。
ウトウトと1時間あまりを過ごした後に、僕は手荷物を持って、外に出ました。